WEBマーケティング 公開日: 2020.09.04 更新日: 2023.01.17

カスタマージャーニーとは?作成する目的と方法、注意点まとめ

この記事では、カスタマージャーニーマップの作り方やその注意点についてご紹介します。カスタマージャーニーマップが比較的メジャーになってきたのは数年前からなので、知らない方も多いかもしれません。カスタマージャーニーマップを作れるようになることで、マーケティング施策に大変役立つ資料になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーとは、ユーザーが商品を認知してから購入に至るまでのプロセスのことです。ユーザーがどのような過程でその商品やサービスを認知、検討し購入まで至ったのかと、それぞれのプロセスにおけるユーザーの行動や感情を、細かく分解し、フローを図として示したものです。

カスタマージャーニーマップを作成する目的

カスタマージャーニーを図示したカスタマージャーニーマップを作るのには、明確な目的があります。

自社の商品・サービスがどのような接点で認知され、情報収集され、どのような思いで購入に至ったのかを整理することで、顧客とのコミュニケーションやマーケティング施策の振り返りに役立てることができます。また、カスタマージャーニーは施策の振り返りだけでなく、新規事業を行う際のサービス設計にも役立ちます。

また、カスタマージャーニーマップを社内で共有することにより、部署間でバラバラな顧客の捉え方の認識を統一することにも役立ちます。企業目線になりがちな広告施策を顧客目線での発想に変え、施策の決定と実行のスピードを速めることができます。

カスタマージャーニーマップの作成方法

ここからは、カスタマージャーニーマップの具体的な作成方法を解説していきます。

ペルソナを設定する

ペルソナとは「企業が提供する製品・サービスにとって、最も重要で象徴的な顧客モデル」と定義されています。言い換えると、ターゲットとなる想定顧客像です。

例えば、「ヘルスケア商品を購入する女性」の場合、「東京在住の20代の独身OL」程度の大まかな設定ではなく、その人の価値観や趣味、購入頻度や週末の行動パターン、好き嫌いの嗜好なども定め、可能な限り本当に実在しているような人物像を作成します。

カスタマージャーニーマップの横軸・縦軸を決定

次にカスタマージャーニーマップの横軸と縦軸を規定します。横軸は商品・サービスの認知から購入、さらに他者への口コミ拡散やSNSでのシェアに至るまでの時間軸になります。

例えば、以下のBtoCの消費財であれば、以下のような横軸が良いでしょう。

  • 認知
  • 興味関心
  • 比較検討
  • 購入
  • 共有

商品やサービスに合わせてより具体的な言葉をつかっても良いです。例えば賃貸物件であれば以下のような横軸ができます。

  • 引越し先地域の比較検討
  • 物件の比較検討
  • 問い合わせ
  • 内見
  • 最終の比較検討
  • 契約
  • 入居

このフローは業種ごとに異なりますので、適宜設定しましょう。

一方縦軸では、時間軸の中での行動、感情、課題といった内容を記載します。

ペルソナに関する情報収集

カスタマージャーニーの横軸・縦軸が決まったら、ペルソナとなっている顧客に関する情報や事例を収集します。時間軸上で顧客が何を考えて、どの接点でどのような行動をするのかを、WEBサイトや広告などで得られたデータや、インタビューやアンケートで収集した情報をマップに落とし込みます。

カスタマージャーニーマップ上でペルソナの行動・感情を追記していく

情報収集で得られたものをマップに落とし込む際に、それぞれの接点においてペルソナの行動や感情も追記していきます。ポジティブな感情になったかネガティブな感情になったか、感情曲線や矢印など記載するとわかりやすくなります。また、各フローにおける行動と感情を踏まえユーザーがかかえる課題やその解決のためのアイディアなども書き込んでおくと良いでしょう。

カスタマージャーニーマップ完成

横軸の項目に沿って縦軸を埋めたら、カスタマージャーニーマップは完成です。上で述べた感情曲線と同様、作成者以外の人が見てもイメージしやすくなるようにしましょう。文章だけでなく、絵や写真などを用いると、イメージしやすくなります。あくまで、カスタマージャーニーを見える化することがマップ作成の目的なので、そこを意識して作成しましょう。

カスタマージャーニーマップを作成する際に役立つもの

ここからは、カスタマージャーニーマップを作成するのに役立つものをご紹介します。

複数の部署のメンバーが集まり、一緒にカスタマージャーニーマップを作る場合があります。そんな時に役立つのが、付箋と大判紙です。

モデレーターの指示に従い、他の人と議論しながらペルソナを決めます。そして、ジャーニーを明確にし、感情の動きを書き込んでいきます。一つひとつの項目において、まずは付箋にメンバーの考えを書いてもらい、大判紙に貼りながらまとめていきます。すると、議論の可視化ができて完成までの時間が短くなります。

一方、メンバーが離れた場所におり、オンライン上で集まってカスタマージャーニーマップを作成する場合は、Googleドキュメントのスプレッドシートなどを使うのがおすすめです。スプレッドシートでフレームを組み上げ、そこで各人色を分けながら書き込んでいきます。対面でのディスカッションではないので多少時間はかかりますが、各項目を整理しながら議論することができます。

カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点

ここまでカスタマージャーニーマップを作成する手順をお伝えしましたが、ここからは作成上の注意点をご紹介します。

ファクトベースで情報をマッピングする

カスタマージャーニーマップを作成する上でよくあるのは、作成者の思い込みが強く反映されてしまうことです。作成者にとって都合の良いペルソナ・ジャーニーでは客観性に欠けます。定量調査や定性調査で出てきた事実を元にして、作成するようにしましょう。

作成後にも、視点が偏っていないかなど見直すと、より質の高いカスタマージャーニーマップとなるでしょう。

最初から細かく作りすぎない

カスタマージャーニーマップは、最初から細かく作り込まないことをおすすめします。最初はざっくりとカスタマージャーニーを描き、細かいところをどんどん書き足していきます。

ジャーニーを最初から事細かく書き込んでいくと、書き漏れや矛盾が出てくることがあります。また、あまりに書き込みすぎてしまうと、作成後に行うべき施策が多すぎて対応できず、マップを作るだけで終わってしまいます。

作っただけで満足しない

カスタマージャーニーマップはあくまでマーケティング施策の資料に過ぎず、作ってからの施策のプランニングやPDCAが重要です。作った後のネクストアクションの設定も忘れず行いましょう。

また、顧客の動きは一定ではなく日々少しずつ変化していきますので、カスタマージャーニーマップも変えていくことをおすすめします。定期的に見直しをかけ、その時の顧客や設定したペルソナの行動と違いがある場合は修正を加えるようにしましょう。

まとめ

カスタマージャーニーマップについて基本的な知識から注意点、作成方法までお伝えしました。カスタマージャーニーマップは顧客の商品やサービス購入までの流れと感情を理解し、マーケティング部門だけでなく経営層や営業・製造など他部門と共有できることもメリットです。ぜひ一度作成してみて、マーケティング施策につなげてみてください。

ヒトノテ坪昌史

監修者:坪昌史

株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。

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