WEBマーケティング 公開日: 2020.05.30 更新日: 2024.04.01

コーポレートサイトとは?目的やターゲットごとに必要な内容を解説

コーポレートサイト

コーポレートサイトとは、企業が自社の事業内容やビジョン、取り組みなどを社外へ発信するためのサイトのことです。

しかし、一言で社外へ発信すると言っても、そのターゲットは顧客や求職者、株主など多岐にわたり、運営する目的や必要なコンテンツも異なります。実際、コーポレートサイトを作成・運営するにあたって、どんなサイトにすればいいのかイメージがつかないといった方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、コーポレートサイトの意味や目的、ターゲットに合わせたコンテンツ内容について解説しました。コーポレートサイト作成の際に、ぜひ参考にしてください。

コーポレートサイトとは?

コーポレート(corporate)とは「法人(組織)の」という意味を持つ言葉です。ここでのサイト(site)はWEBサイトの略なので、単純に訳すとコーポレートサイトは「企業のWEBサイト」となります。

とはいえ企業が運用するWEBサイトなら、なんでもコーポレートサイトと呼ぶわけではありません。

企業によっては、ECサイトやWEBメディア、クラウドサービスといったWEBサービスを運用していたり、自社ブランドや自社製品の情報を掲載する専用WEBサイトを展開していることもあるでしょう。

こうした「企業がWEBサービスを提供するためのサイト」と区別して、「企業が自社の事業内容やビジョン、取り組みなどを社外へ発信するためのサイト」を指すのが「コーポレートサイト」です。

コーポレートサイトを開設する意味と目的

かつては企業が社外に向けて自社情報を伝えるためのツールといえば、紙ベースの「会社案内パンフレット(リーフレット)」が主流でした。現在でも法人営業や株主への広報ツールとして紙媒体が使用されるケースは多いでしょう。

しかし紙媒体の会社案内は、現物を手渡したり郵送したりした相手にしか手に取ってもらうことができません。また印刷物である都合上、記載内容に追加や変更事項があってもすぐには更新されず、少し古い情報になってしまうこともあります。

一方、WEBを通じた情報提供であれば、URLを伝えるだけで企業情報を見てもらえるばかりか、自社に関心を持つ人が検索によって自発的にたどり着いて確認してくれることも期待できます。

印刷物とは異なり、WEBなら文字情報の更新などは即時対応しやすいため、社外に向けて常に最新の情報を提供することが可能です。

インターネットが普及し、WEBを通じたマーケティング活動や営業活動を行う企業が増えた現在、コーポレートサイトは新たな社外向け情報ツールとして大きな意味を持つようになったのです。

コーポレートサイトのターゲットと役割

コーポレートサイトを通じて自社情報を届ける相手は様々で、ターゲットによって提供すべき情報も変わってきます。

ここからは、コーポレートサイトのターゲットユーザーの種類と、各ターゲットに向けて企業が伝えるべき情報について整理していきましょう。

顧客に自社サービスや商品を知ってもらう

コーポレートサイトを閲覧するユーザーとして想定される第1のターゲットは、自社事業の新規顧客と見込み顧客および潜在顧客です。

コーポレートサイトは営業活動において、その企業の“名刺代わり”としての役割を果たします。自社がどのような事業を行っている企業なのかを知ってもらうことは、コーポレートサイトの大きな目的の一つだと言えるでしょう。

先述のとおり、コーポレートサイトとは別のサイトを設けて製品・サービスのサイトとして運用するケースもあります。

一方、Apple社のように、自社製品のWEBサイトに、企業としての社外向け情報(役員の紹介やニュースリリース、採用情報など)もあわせて掲載するケースもあります。多くの企業で、コーポレートサイトとECサイトは分離させていますが、Apple社のサイトでは、自社商品のECを行っていることも特徴の1つです。

Apple社のように、iPhoneやMacなど製品ブランドを全面に出し企業ブランディングを行うのか、それとも企業名と製品を別でブランディングをするのかは、各社の戦略によって異なります。

求職者に自社の魅力を伝える

コーポレートサイトのターゲットユーザーとして、第2に想定されるのが求職者です。求職中の人のほとんどが、応募をする前に気になっている企業のコーポレートサイトを確認します。

優秀な人材を確保することは、企業の成長に欠かせない要因です。求職者に自社の魅力を伝え、「この会社で働いてみたいな」と思わせるのもコーポレートサイトの役割の一つでしょう。

求職者が知りたいことは、採用情報はもちろんですが、その企業がどのような社風でどんな人が活躍しているのか、どのような企業理念を持ちどのような取り組みを行っているのかなど、企業に関する情報全般だと言えます。

WEBを通じた採用活動に力を入れる企業などでは、コーポレートサイトとは別にリクルート用サイトを立ち上げ、運用するケースもあります。

株主・投資家に自社の企業価値を伝える

コーポレートサイトのターゲットユーザーとして3番目に想定されるのが、投資家および株主です。

株式会社が株主や投資家に向けて、自社の経営状況や財務状況、業績の動向などを広報する活動を「IR(インベスター・リレーションズ)」と言います。コーポレートサイトには、IR情報の提供という役割もあるのです。

かつては投資家といえば信託銀行や保険会社といった機関投資家がメインでした。しかし現在は個人投資家の存在感も大きくなっています。機関投資家は専門機関を通じて各企業の情報を入手することが多いですが、個人投資家にとっては企業がコーポレートサイトは重要なIR情報源となるのです。

IR活動を積極的に行う企業の株価は高くなる傾向があるとされており、コーポレートサイトを通じた情報開示に力を入れる企業も増えています。

既存顧客に自社の最新情報を伝える

既存顧客も、コーポレートサイトのターゲットユーザーとして想定すべき存在です。コーポレートサイトにアクセスする既存顧客は、自社の新製品や新サービスに注目している、いわゆる自社の「ファン」であるケースも多いと考えられます。

こうした既存顧客に向けて自社の最新情報(プレスリリース、営業日のお知らせなど)をしっかりと伝えることは、LTV(顧客生涯価値)向上につながる施策であると言えるでしょう。既存顧客に向けた最新情報の提供も、コーポレートサイトの役割の1つなのです。

また、コーポレートサイトを訪れる既存顧客が、求職者や個人投資家としての目線をあわせ持っている可能性も考慮すべきでしょう。

コーポレートサイトに必要なコンテンツ

コーポレートサイトの主なターゲットとなるユーザーと、それぞれに求められる情報を整理してきました。これらを踏まえたうえで、コーポレートサイトを制作するにあたって、具体的にどのようなコンテンツが必要になるのかを確認していきましょう。

会社概要

会社概要には、自社に関する基本的な情報を簡潔に記載するのが基本です。会社概要に記載する項目の例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 会社名
  • 代表者名
  • 所在地
  • 資本金
  • 設立日
  • 事業内容
  • 取引銀行
  • 役員名

など

基本的な事項については不備や誤記がないようにしましょう。見やすく表にまとめたり、所在地の表記と合わせて地図を表示したりといった配慮も好印象につながります。

サービス・製品の紹介

自社で提供しているサービスや製品を紹介するページです。

製品・サービスのサイトをコーポレートサイトと別途運用する場合でも、コーポレートサイト側にも製品・サービスの概要や、別サイトへの誘導リンクの設置などはしておいた方が親切です。

採用情報

採用情報には、募集している職種や求める人材、応募方法や採用の流れなどをわかりやすく掲載します。

募集職種で活躍している社員や、新卒・中途入社社員それぞれの目線からの体験談やメッセージなどを掲載するのもおすすめです。

サービス・製品の紹介と同様、採用サイトを別で運用する場合は、誘導リンクを設置しておきましょう。

代表メッセージ、社員の紹介

代表のメッセージは、企業理念や経営方針などを伝える重要なコンテンツです。

見込み顧客向け、投資家向け、求職者向け、既存顧客向けなど、誰に向けたメッセージなのかにより伝えるべき内容が異なってくることも多いので、「会社概要ページに記載する企業理念や経営方針」「採用情報ページに記載する求職者向けメッセージ」など、複数のメッセージを用意して適切なページに掲載する方法も良いでしょう。

社員紹介は求職者向け情報として掲載されるケースが多いですが、見込み顧客などに向けて専門家や技術者としての強みをアピールするために掲載するケースもあります。

取引実績、お客様の声

BtoBビジネスでは特に、取引実績の数や取引先の社名なども参照されることが多いです。具体的な数字などを掲載するとともに、特に注目してもらいたい実績を取り上げ紹介すると効果的です。

いわゆる「お客様の声」はBtoCビジネスで大切なのはもちろん、BtoBビジネスにおいても有効です。取引実績とあわせて取引先からの評価や感想などを伝えることで、信頼や安心感を得られやすくなります。

よくあるお問い合わせ(FAQ)

顧客から問い合わせの多い内容については、テーマごとに分類して質問と回答を参照しやすいように掲載しておくと良いでしょう。

問い合わせることなく疑問を解決できれば顧客は満足度が向上しますし、社内では問い合わせ対応にかかる時間や労力の削減につながります。

問い合わせフォーム

問い合わせや資料請求は、電話番号を掲載するだけでなく、フォームからいつでも気軽にできるようにしておくことが大切です。問い合わせフォームに加え、資料ダウンロードや問い合わせ用チャットなどをあわせて設置している企業も多いです。

顧客からのよくある問い合わせについては、できるだけFAQで解決してもらえるようにしつつ、見込み顧客からの問い合わせはうまく商談につなげられるように構成を工夫しましょう。

IR情報

上場企業であれば、財務情報や業績情報といったIR情報もコーポレートサイトに掲載しておきましょう。

投資のプロだけではなく一般投資家が見ることを想定して、財務諸表だけでなく株主総会の投影資料など、投資初心者にもわかりやすく情報提供することや、データだけではなく企業としての理念や取り組みなどを伝えて個人投資家からの投資につながるページ作りを意識しることが大切です。

コーポレートサイトのメリット

ここではコーポレートサイトを開設することのメリットについてご紹介していきます。

企業があることの証明になる

コーポレートサイトは、その企業の存在証明としての役割を果たしています。

スマホの普及が進んでいる今、わからないことや興味があることはネットですぐに調べることができます。企業や会社についても同じで、その企業について詳しく知りたいと思った時に、ネットで検索するユーザーは多いでしょう。そのときに、コーポレートサイトが出てくるか出てこないかでは大きな差があります。

もしもコーポレートサイトが出てこなかったら、本当に存在している企業なのか不安に思うかもしれません。コーポレートサイトがあることで、その企業がどこにあるのか、一体どのような企業なのかを知ることができ、安心や信頼につながります。

企業イメージの向上につながる

コーポレートサイトを作成する際には多かれ少なかれ、「自社をどのようにブランディングするか」が検討されたうえで、デザインやテキストコンテンツにそれらのブランディングの要素が組み込まれています。そのため、適切なブランディングがコーポレートサイト上でできていれば、企業のイメージアップに役立てることができます。

中小企業がブランディングを行うのは大変ですが、コーポレートサイトならばサイト制作費用のみで最低限のブランディングが可能です。コーポレートサイトのコンテンツや質を高めていくことで、企業のイメージはよりよいものになるかもしれません。

サイト自体が広告のような役割を果たしてくれるため、低コストで他の企業に負けない企業イメージを作り上げることも可能です。

ビジネスチャンスが広がる

コーポレートサイトにはいろいろな情報を掲載している企業がほとんどでしょう。その情報が、思わぬビジネスチャンスにつながる可能性があります。ネットが普及している今では、企業もネットで取引先や提携先などを探していることがあります。

そんなときにコーポレートサイトがあれば、自社の商品や事業、サービスを見てもらうことができます。サービスの料金やお客様の声を掲載していることで、企業からの信頼も得られるかもしれません。

また、コーポレートサイトは常に最新の情報を配信することができます。問い合わせから業務の提携が決まったという例も少なくありません。このように、コーポレートサイトを作り込むことで、今までになかったビジネスチャンスを広げることも可能です。

人材採用に繋がる

一般的に求人を探している求職者は、求人のポータルサイトなどを活用していることが多いでしょう。しかし、ポータルサイトだけでは企業のことを十分に知ることができない場合もあります。

そのような時に、求職者はコーポレートサイトで企業の情報を調べることが予想されます。

コーポレートサイト上で企業の魅力を伝えることができれば、働きたいという気持ちにつながり、採用のチャンスが増えます。

また、コーポレートサイトに求人情報を記載しておくことで、求人ポータルサイトへの掲載費用や人材紹介手数料などのコストをかけずに採用活動を行うことができますし、わざわざ自社サイトを探して訪問している志望度が高い求職者に見てもらえるというメリットもあるので、ぜひ活用してみましょう。

カスタマーサポートがスムーズになる

スマホやネットが普及している今、企業への問い合わせ方法は変化しつつあります。電話での問い合わせが多かった頃と比べて、わからないことをネットで調べてから問い合わせをする人が増えています。

そんなとき、コーポレートサイトに「よくある質問」や「使い方ガイド」などを掲載しておけば、ユーザーは問い合わせをする必要がなくなるかもしれません。

また、リアルタイムで対応ができるチャットサービスを使ったサポートも増えており、ユーザーの満足度も高くなっています。コーポレートサイトのお問い合わせ方法も、少し工夫するだけでユーザーの満足度向上や、信頼獲得につなげることができます。

サービスの説明がしやすくなる

コーポレートサイトでは、自社の製品やサービスを紹介するコンテンツを掲載することがほとんどです。パンフレットと違い、WEBではダイナミックな表現ができ、商品の動画なども掲載することができるので、製品やサービスの良さをしっかりと伝えることができます。

広告や検索から興味を持ってくれた人へのアピールにもなりますが、取引先での紹介などにも役立てることができるでしょう。紙媒体だけでは伝えられなかった製品情報や競合優位性を伝えられる点が、コーポレートサイトのメリットの1つともいえます。

コーポレートサイトとサービスサイトの関係性

先述した通り、コーポレートサイトとは別にサービスサイトを作っている企業様も多いのではないでしょうか?コーポレートサイトとサービスサイトでは、ターゲットが違うことを解説しましたが、2つのサイトを持つことの意味や関係性についても考えてみましょう。

コーポレートサイトとサービスサイトは同じでも良い

コーポレートサイトとサービスサイトを一緒に運営しているという企業も少なくありません。先述にあったApple社も同じで、コーポレートサイトとサービスサイトを統合して運営しています。

これもブランディング戦略の1つで、どのようなターゲットを狙っているかで決めると良いでしょう。サイトを1つに統合すると、Apple社といえばiPhone、iPhoneというように、ブランドそのものと企業のブランディングを同時に行える点がメリットです。

多くのサイトを持つのではなく、1つのサイトを管理するだけで済むため、管理コストの削減できるというメリットもあります。自社製品と企業そのもののブランディングを同時に行いたいという場合は、コーポレートサイトとサービスサイトを同じサイトとして運営するのも、戦略の1つとなります。

コーポレートサイトとサービスサイトを分けるメリット

それでは、コーポレートサイトとサービスサイトを分けることに意味はあるのでしょうか。

例えば、いくつかのサービスを提供している場合、サービス毎に狙っているターゲットやブランディングが異なっている場合には、サービスごとにサイトを作ることで、それぞれのブランディングがしやすくなるというメリットがあります。企業とサービスのイメージを分けたい場合や、部署やグループによって管理を分けたい場合なども、サイトを分けておくことでそれらが容易に行えます。

また、狙いたいターゲットが企業なのか、一般ユーザーなのかでコンテンツ内容が大きく変わることもあります。コーポレートサイトで狙いたいターゲットと、サービスサイトで狙いたいターゲットを考えた際に、別のターゲット像になるならば、サイトは分けておく方がよいでしょう。

コーポレートサイトと採用サイトの関係性

サービスサイトと同じように、コーポレートサイトとは別で採用サイトを運営している企業もあります。

もちろん、コーポレートサイト内に採用情報を記載することで採用サイトの役割も果たしてくれますが、記載ができるコンテンツ量には限りがあります。さらに、顧客へのブランディングと求職者へのブランディングを分けたいという場合もありますので、そのような場合にサイトを分けることをおすすめします。

採用サイトではどのような人材がほしいのか、どのような仕事を任せたいかだけではなく、採用方法や人事担当の言葉など、より多くの情報を掲載することができます。

コーポレートサイトだけでは見せることができなかった情報を盛り込むことで、求職者側も企業を選びやすくなり、より人材確保につなげることができるでしょう。

まとめ

コーポレートサイトの意味と主なターゲットユーザー、必要なコンテンツなどについてご説明しました。

WEBを使ったマーケティングや営業活動が普及する中、しっかりとしたコーポレートサイトを作り、運用することは企業にとって重要な課題であると言えます。

コーポレートサイトを開設する際には、どういった層に向けどのような情報を提供する必要があるのかを明確にし、社外に向けて自社の魅力や存在感をしっかりとアピールできるかどうかを十分に検討なさることをおすすめします。

ヒトノテロゴ

執筆者:山口ひかる

株式会社ヒトノテのディレクションを担当。自社オウンドメディア運営ノウハウを活用し、クライアントメディア向けのWEBコンテンツ制作や、WEBマーケティング全般の支援を行っています。

ヒトノテ坪昌史

監修者:坪昌史

株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。

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