オウンドメディアの主なマネタイズ方法はこの7種類!成功のポイントもご紹介

企業が保有し、自分たちでオリジナルのコンテンツを発信するオウンドメディア。近年ではオウンドメディアを保有する企業は一般的となり、そこからさらに一歩進んでオウンドメディアを活用して売上に繋げている企業が増えてきました。
しかし、なかには現在運営している、またはこれから新しく制作するオウンドメディアでマネタイズしたいけれど、どうすればよいのか分からず困っている…という方も多いようです。
オウンドメディアをマネタイズするにはいくつかの手法があり、企業や商品にあった手法を見極めることが重要になります。
この記事では、オウンドメディアをマネタイズする7種類の方法とマネタイズ成功のポイントをご紹介しますので、ご参考にしてみてください。
この記事の目次
オウンドメディアのマネタイズの種類は7つ
オウンドメディアをマネタイズする方法としては、以下の7種類が考えられます。ひとつずつ例を挙げながらご紹介していきましょう。
自社商品の販売・申し込み
オウンドメディアで自社の商品を販売したり、サービスへの申し込みを受け付けたりするのは、マネタイズするにあたって一番シンプルでわかりやすい手法です。
この手法には、自社の商品・サービスの利用方法や商品の魅力をコンテンツの中で伝えていくことで、オウンドメディア内での直接購入へ促すことが可能です。

「 北欧、暮らしの道具店 」というサイトでは、「洗練さ」をイメージしたセンスのよい商品を、北欧を中心にセレクトしてオウンドメディアの中で販売しています。商品ページは、写真1枚とっても、購入後のおしゃれでスタイリッシュな生活イメージが沸くようにデザインされていたり、実際の使用感やシーンを表現したテキストコンテンツが用意されたりしていることも特徴です。ひとつ購入するとまたひとつ、と購入意欲が沸くオウンドメディア作りに成功しています。
自社のサービスサイト・ECへの送客
前述したマネタイズ方法は、オウンドメディアの中で商品やサービスを販売する、というマネタイズ方法でしたが、オウンドメディアに集客し、そこから別で運営している自社のサービスサイトやECサイトに送客してマネタイズする方法もあります。
例えば、元々ECサイトを運営していて、「ECサイトに来ているユーザーとは別の層をオウンドメディアで取り込みたい」や、「構造上、既存のECサイトにコンテンツの追加をする事が難しい」という場合には、ECサイトとは別でオウンドメディアを構築して、ECサイトへ送客するというモデルが適しています。

「石鹸百科」という、石鹸生活の総合情報サイトがあります。このサイトでは、石鹸の材料である界面活性剤のことから、犬やネコなどのペットを石鹸でシャンプーする際のコツなど、石鹸についてのあらゆる情報を網羅しています。
石鹸について調べていたユーザーがこのサイトにたどり着き、そのまま商品リンクをクリックしてECサイトに誘導され、商品を購入する導線になっています。
石鹸百貨は取り扱っている商品を販売するために、「石鹸百貨」という自社名で集客する必要はないことを理解し、ユーザーが必要とするコンテンツを提供することに注力した結果、マネタイズに成功しています。
自社商品のリード獲得
ユーザーに有益な情報を提供することを理由に、メールマガジンの登録を促したり、会員登録をさせたりすることで、自社商品のリード獲得をするのもオウンドメディアのマネタイズの手法の1つです。
ユーザーがそのオウンドメディアの更新情報を定期的に得るためにメールマガジンに登録するケースや、オウンドメディアの中で配信されているホワイトペーパーのダウンロードをするために、個人情報の登録をするケースなどが考えられます。
獲得できるのはあくまでリードなので、「獲得して終わり」ではなく、商品やサービス購入まで誘導する手間はかかります。一方で、ユーザーにとっては無料で有益な情報が得られるということで、数を増やしやすいというのがメリットです。

この事例としては、「SEOラボ」が挙げられます。SEOラボは、WEB集客を支援するSEOツールやSEOメディア、SEO商品の自社開発によるサービスを提供しているサイトです。SEOラボでは、あらゆる情報を提供すると同時に、SEOの情報を「無料提案」するサービスを提供するという形でリードの獲得に成功しています。
アフィリエイト
オウンドメディアに商品のアフィリエイトリンクを貼りマネタイズを行う手法も、取り入れる企業が近年増えてきました。
商品同士の比較情報や、その商品・サービスに関するリアルな体験・口コミや、意外な使用方法などオフィシャルの商品サイトだけでは伝えきれないコンテンツを設置し、そこから商品購入サイトへ誘導します。この誘導によって、ユーザーが購入まで至った場合に、オウンドメディアの運営者に成果報酬が入る仕組みです。
また、アフィリエイトのやり方はASPサービスを利用する方法と、自社が直接アフィリエイト先と契約して誘導をする方法があります。

商品比較サイトの「mybest」では、多くの商品を比較した上でさらに検証実験まで行い、ランキングの正当性を訴えることで、ユーザーに商品購入を促しています。ユーザーの「商品について詳しく知り、さらに比較してから買いたい」欲求を満たした上で、購入に繋げている例です。
広告収益
オウンドメディアに広告を掲載するのも、ひとつのマネタイズ手法です。自社メディアに純広告掲載用の広告枠を提供して他社から広告掲載料をもらう、アドネットワークの事業者と契約して広告配信を受けるなどの方法が考えられます。
ただし、この手法は使い方によっては逆効果となる場合もあるため注意が必要になります。例えばオウンドメディアで少しでもマネタイズしたいからと言って、ページ全面を覆うような広告を貼るのは、かえってメディアのイメージがダウンする可能性もあるでしょうし、検索エンジンからの評価を落とす要因にもなります。広告で収益をあげるのであれば、コンテンツと広告をうまく馴染ませる工夫が必要です。

例えば生活総合情報サイトの「All About」は、その道の専門家が日常生活をより豊かにするノウハウや業界の最新動向など、多彩なコンテンツを発信しています。
記事の下部には、記事の内容とリンクした広告が、他の記事とうまく融合した形で配置されています。またサイドバーにはクリック報酬型の広告も出稿されていますが、サイトのデザインやコンテンツの内容から見ても、違和感なく溶け込んでいるのが特徴です。
自社の顧客への送客
オウンドメディアを訪れたユーザーを自社の顧客に送客することで、なんらかの利益を得るのもマネタイズ手法のひとつです。送客される側の企業にとっても、利用料や手数料を支払うことで集客してもらえるメリットがあります。

飲食業に特化したマーケティング支援を行っている「favy」がその一例です。
favyでは、地域やジャンルに分けてさまざまな飲食店を、詳しい記事にして紹介しています。飲食店側は無料で登録が可能ですが、有料プランも提供をしていて、申し込むと専用ページの作成をするなど、さらに送客が強化される仕組みになっています。無料で登録した飲食店に多く送客することで、優良プランへのアップグレードの交渉をしやすくする戦略なのかもしれません。
有料コンテンツの配信
最後にご紹介するのは、オウンドメディアで提供するコンテンツの一部を有料にして配信するマネタイズ手法です。ユーザーの関心の高いコンテンツで引きつけ、プラスアルファの部分を有料コンテンツにして配信します。

「DIGIDAY」は、アメリカの「デジタルマーケティング戦略」情報サイト、DIGIDAY.comの日本版です。デジタルマーケティングに関するさまざまな情報を無料で発信していますが、DIGIDAY+と呼ばれる会員制サービスに申し込むと、メンバーだけが閲覧できるコンテンツや、会員限定のコミュニティにアクセスできるようになります。
この手法を採用するのであれば、無料部分をしっかり充実させてサイトへの信頼性を高めたうえで、有料部分への期待感が膨らむようにすることが重要です。
オウンドメディアにマネタイズは必須?メリット・デメリット
オウンドメディアにマネタイズが必要かどうかは、オウンドメディアを立ち上げた目的によると言えます。
そもそもマネタイズを目的としたオウンドメディアである、あるいは先に紹介したAll Aboutのように、広告が違和感なく溶け込むようなメディアであれば、マネタイズで利益を得ることは企業のメリットになるでしょう。
一方、オウンドメディアの目的が、自社のブランディングや採用であるなら、無理にマネタイズを考える必要はありません。
そのような場合、オウンドメディアでは企業や商品に対する認知度や親近感を上げるイメージ戦略が中心となるため、広告収入などでマネタイズを行おうとすると、かえってブランドイメージを損ねてしまう可能性があります。とくにアドネットワーク型の広告は、掲載する広告を選べないため、ブランドイメージと合致しない内容のものが表示されることも考えられます。
ブランディングなどが目的のオウンドメディアでは、 サイトからの直接の利益で自社への貢献度を測るのは的外れです。こういったケースでは、「自社名での検索数が上がっているか」や「求人応募数が増えているか」などを指標として、数字を追うのがよいでしょう。
オウンドメディアでマネタイズに成功するためのポイント
オウンドメディアのマネタイズに成功するために取り組むべき、4つのポイントを紹介します。
サイトへの流入数を高める
オウンドメディアでマネタイズに成功するためには、サイトへの流入数を高めることが近道です。どれだけすばらしいサイトを作り、いい商品を並べても、流入数が少なければマネタイズは成功しません。
流入数を増やすためには、まずはGoogleアナリティクスなどでサイトへの流入経路を調べ、流入数の多いところから優先的に強化していくと効果的です。
検索エンジンからの流入が多いようであれば、SEOを意識したコンテンツを作り検索上位に入る記事を増やすのが王道です。SNSやコーポレートサイトからの流入が多いようであれば、定期的にユーザーにとって有益な情報を発信するようにしましょう。またメールマーケティングを行い、潜在層を少しずつナーチャリングすることで、コンバージョンを上げる顧客に育て上げるのも有効です。
サイト流入からマネタイズポイントまでの到達率を高める
UIやUXを改善して、マネタイズポイントまでの到達率を高める工夫も大切です。その際にはコンバージョンに貢献度が高いと考えられる箇所から優先的に改善していくのが効果的です。
流入が多いにもかかわらず、直帰率が高いページはないでしょうか。もしくはマネタイズポイントに近づいているのに申し込みフォームで離脱しているなど、改善すればコンバージョン率が高まると考えられるポイントを探しましょう。
課題のあるページを洗い出せたら、なにが原因で直帰や離脱が発生しているのか仮説を立てます。広告の位置が目立たない、ボタンの色がわかりにくいなどUIに問題はありませんか。申し込みフォームの構成は適切でしょうか。例えば申し込みページの入力項目が多すぎると考えられるなら減らすなど、考えられる原因をひとつずつ見直していきます。
改善を行うときには、手間ヒマはかかりますが、A/Bテストを行うなどしてPDCAを回しましょう。効果検証を繰り返すことで改善ポイントのデータが積み上がり、結果的には大きな成果につながります。
リピートしてくれるファンを増やす
オウンドメディアでマネタイズを考えるのであれば、新規顧客を取り込むことと同様、もしくはそれ以上にリピートしてくれるファンの育成が重要です。ロイヤリティの高い顧客は、利益に対する貢献度が高いため、ファンが増えることは利益増に直結するためです。
ファンを育成するためには、顧客にとって有益な情報を提供し続けなければなりません。サイトの定期的な更新を続けることはもちろん、SNSで潜在層を取り込み、双方向コミュニケーションを取る、ロイヤリティプログラムを導入するなど、さまざまな施策を打つとよいでしょう。
広告主ではなくパブリッシャーとしてコンテンツをつくることが重要
コンテンツマーケティングには、「Think Like a Publisher」という基本的な考え方があります。これは「パブリッシャーのように考えろ」という意味です。「パブリッシャー」は、雑誌や新聞、WEBなどのメディアの「発信者」を指すと考えるとよいでしょう。
これまで企業は広告会社などを間に挟み、ユーザーに商品の販売をしてきました。しかしこの「Think Like a Publisher」という言葉は、自社の商品を売るためには、ユーザーの視点に立って求められている情報を見極め、「自らが」発信することの重要性を示唆しています。
オウンドメディアを作るときには、商品の売り込みからいったん離れ、ユーザーがどんな情報を必要としているのかを考え、それをコンテンツとして発信していくことが、遠回りに思えても結局は商品の販売に繋がるのです。
ここで重要なのは、「パブリッシャーのように(like a publisher)」考える必要はありますが、決して「パブリッシャーそのもの(be a publisher)」になってはいけないということです。
雑誌や広告は集客そのものが目標のため、幅広いターゲットにアプローチする必要があります。しかし自社の商品を売ることが目的であれば、自社の商品に関心のあるユーザーだけにターゲットを絞って引きつければよいわけで、そのためには自社のメディアでしか得られないニッチなテーマで勝負をするのが効果的です。
多くの「読者」を集めるのが目的ではなく、その先に「商品の販売」があることを常に念頭に置き、目的をはき違えないサイトを作ることが、成功のポイントになるでしょう。
まとめ
オウンドメディアをマネタイズする7種類の方法とマネタイズ成功のポイントをご紹介しました。
マネタイズの手法にはそれぞれ特色がありますが、実際にオウンドメディアをマネタイズしていくのであれば、販売したい商品やオウンドメディアのコンセプトに合った手法を選ぶことが何よりも大切です。
今回ご紹介したポイントも参考にしながら、オウンドメディアのマネタイズに挑戦してみてください。
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執筆者:ヒトノート編集部
株式会社ヒトノテのオウンドメディア、WEBマーケティングの学習帳「ヒトノート -Hito note-」の編集部。

監修者:坪昌史
株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。